アートセラピストの「アートと暮らす」

アートセラピストとして活動するクエストのスタッフが現場の声をお伝えします。アートセラピー情報もタイムリーにお届けします。

自分で自分に満足する。



こんにちは、マッキーです。

今日は梅雨の晴れ間!

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東京はいいお天気です。

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(我が家のミントさん。日に日に伸びています)

先週から、アートセラピーの現場も少しずつ再開しはじめました。


今日はそんな現場の話を少しだけ。

そこは、疾患を持ちながらも社会復帰を目指す方たちのための施設。


先日そこで、同じテーマで数回続けてきたアートの展覧会を開催しました。

展覧会といっても公のものではなく、そのプログラムに参加をしている方々と私達で、いつもの部屋にただ自分のアートを好きなように展示をしてみる、というもの。

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(その日のウォーミングアップで私が描いたアート「雨」)


ある参加者の方が、ご自身の展示したアートを見て、こんなことを言いました。


「自分で言うのもなんだけど......なんか、いいね。
こんな体験したことないから、すごく恥ずかしいけど、でも、我ながら、すごくいいと思う!」

そして、
「うん、満足」と小さくつぶやきました。


その方は、自分の作品を一度展示した後、
「もう少し上の方がよかったかな」と迷いはじめました。

そして、「まぁ、いいか」とはせず、
自分が満足するまで試行錯誤し、
この『満足』を自分でつくり出しました。


少し離れたところから、
じっと自分のアートを見つづける姿がいつもとはまた違う印象で。

何度も「恥ずかしいよ」と言いながらも、
誇らしそうな、満足そうな表情がたまらなく印象的でした。


そう、この感覚。この力。


人は誰でもきっとこの力を持っているのに、
誰かに褒めてもらいたくて、
自分の満足よりも、誰かが喜ぶように振舞おうとしてしまう。


そうして褒めてもらえたら、もちろん嬉しい。

自分が認められたような気持ちがして、
そして、またこのまわりからの承認が欲しくなってしまう。



でも、この方が私に見せてくれたのは、
〈 自分で自分に満足する 〉
ということの力の大きさ。


“誰か”の目線ではなくて、
“自分が”気に入るまで、アートの展示を試行錯誤する。


そのアート自体、回数を重ねるごとに、
その方は新しい、自分がやってみたいことにチャレンジをし続けていました。

だから、今回展示した複数のアートの中には、
最初の頃に描いた「あまり気に入っていない」作品もあったのです。

 

それでも、その方は、その気に入らなかったアートから、
次に「こうしてみよう」が生まれ、
それを実行し…を繰り返し、
この連作がこの世に生まれました。


そのプロセス全部を展示して、全体を見た時に「満足」という気持ちが湧いてきた。


正直、これはとてもセラピストが与えられるものではありません。

アートを通して、自分の声に耳を傾け続け、
それを自分が実際に叶え続けてあげたことで、
得られた感覚なのだろうと思います。

 

そして、この現場はスタッフの方のサポートもとてもありがたく。
忙しいにもかかわらず、何名かのスタッフの方もこの展示を見に来てくださいました。

 「 人と関わり、混ざりあいながら、場をつくっていく 」


これこそが、私が現場で得た学びであり、宝物であり、
まさにアートなのかもしれないと思うのです。






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