アートセラピストの「アートと暮らす」

アートセラピストとして活動するクエストのスタッフが現場の声をお伝えします。アートセラピー情報もタイムリーにお届けします。

アートは心の扉になってくれる

こんにちは。
マッキーです。

 

今、いくつかの現場でアートセラピーをさせていただいているのですが、先日、そのうちの一つの施設で「手」をテーマにアートをしました。

 

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  これは私が描いた手

 

自分の手をいっぱい触って、いっぱい見つめ、
そして、いつもの素材をつかって自分の手を描いていきました。

とてもシンプルなワークだったのですが、
シンプルだからこそ、どんなアートが生まれるのか、
はじめは想像もつきませんでした。


ただただ時間はゆっくり流れ、
約数十分が経った頃、
気づけばそこに参加者お一人おひとりの「手」が生まれていました。


そして、お一人おひとりのお話をうかがっているうちに


「どんな手のアートになるのか、
想像なんてできなくて当然だった」


そう実感しました。

 
なぜなら、手の形、しわ、厚み・・・
それらが一人一人違うのと同じように、
その手で今まで触れてきたもの、感じてきたこと、
そして、これからその手でつかんでいきたいもの...

それらはお一人おひとり違うから。


だから、みなさんが描く「手」は、みんな違っていて、
そこにはその人ならではのストーリーが流れていました。

 

お子さんにもう一度触れたいと伸ばす手。

いろんなことをしてきたと一面グレーに塗られた手。

大好きな果物をつかんでいる手。

 

そう手について語られる言葉の後ろには、もっともっと大きなストーリーが流れているようでした。


そう。
ストーリー。

アートセラピーでは、お一人おひとりのストーリーに触れる瞬間がたくさんあります。

 

そして、アートセラピストは、このストーリーをとても大切にしています。

 

「こういうストーリーに書き換えたらいいよ」
「本当は、こういうストーリーだったんじゃない??」

 

そんなことはもちろん言いません。

 

河合隼男先生と小川洋子さんの
『生きるとは、自分の物語をつくること』という本の中で、

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河合先生のこんな文章があります。

 

私は、「物語」ということをとても大事にしています。
来られた方が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。(P46,47)

 

アートセラピーの世界でも同じような感覚になることがあります。

 

心が回復するということは、
奥深くに流れているストーリーに、
自分自身がもう一度触れにいくような作業になることがあります。

 

そして、その作業こそが、
「自分を生きる」ということにつながっていく。

 

ストーリーに触れるということは、
まるで自分の血管を流れる血を感じることのようだ、と感じることさえあります。

 

そして、そんなストーリーをたどる旅をはじめる最初の扉にアートはなってくれます。

 

時に、ストーリーを深めていくとどこに帰っていいかわからなくなることもあります。
でも、そんな時にも、私たちにはアートがある。

そこからはじめて、そこに帰ればいい。
その安心感を持って、一緒に旅が私たちはできるのです。

 

 

今回描かれたどの手も、どの手も、どんな手も、

なんだかとても愛しかったです。

 

 

 

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