初心を思いだす。
こんにちは、マッキーです。
先日、アラスカ在住で、元ブッシュパイロットのドン・ロスさんを囲む会というのがありました。
彼は、ガイアシンフォニー第3番にも出演している、写真家星野道夫さんの古い友人です。
もう亡くなっている方のなかで、星野道夫さんほど私が影響を受けた人はいないかもしれません。
まだ、アートセラピーをはじめる前、仕事の帰り道。
その時、私はチケットをもらったからと銀座でやっていた星野さんの写真展に何気なく立ち寄りました。
そして、その日、私は閉館の時間までずっとそこにいたのです。
たくさんの写真の前で立ち止まり、
写真の横にあったたくさんの文章を何度も何度も読んで。
人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きていけるのでしょう。(出典:旅をする木)
最初に立ち止まって読んだのがこの文章でした。
当時、仕事がしんどくて、本当にささいなことで心が揺れたり落ち込んだり。
でも、その日、星野さんの写真や文章を前にして、自分の心の中に本来あったはずの炎のようなものがかすかに灯ったのを感じました。
あぁ、本当だ。
人間の心って、深くて浅いのかもしれない。
今まで「浅い」は、否定的なイメージだったけれど、そうではなくて、この浅さこそが人間の可笑しさであり、救いなかもしれない。
そんな風に思ったことを覚えています。
そして、それからたくさん星野さんの本を読み、その中に何度も登場したのがドンでした。
アメリカ空軍の優れたパイロットだったドンは、ある時その地位を捨て、アラスカの原野を飛ぶ一介のブッシュパイロットになりました。
ブッシュパイロットというのは、飛行場も滑走路もない、例えば氷河の上のような普通は無理と言われる所にもセスナを着陸させます。
そうして、物資や食料を運んだり、星野さんのような人をあらゆる場所に連れていくことも。
そんな、星野さんと行動を共にすることが多かったドンに、ある人が質問をしました。
「星野さんは、どうしてあんな素敵な写真を撮れたのだと思いますか?」
少し考えてからドンが言った言葉は、
「彼にはtalent(才能)があったんだと思う」
もしかしたら身も蓋もなく感じられる言葉かもしれませんが、なるほど、そうかもしれません。
「ドンは、星野が“ここ”という所で降りることができたブッシュパイロットだった」
と、言っています。
そして、「ドンなしには、星野の写真はなかったかもしれない」とも。
つまり、ドンがセスナを操縦するtalentがあったからこそ、星野さんが撮りたい写真を撮ることができ、
星野さんが写真を撮るtalentがあったからこそ、私がその写真を見ることができた。
その人のtalent、つまりその人ができること、したいことをするということは、実はその人だけの世界で終わることではないのかもしれません。
それが、結果的に誰かの助けになっていることもあるように思うのです。
星野さんの写真展にはじめて行った時、自分のtalentが何かなんて全然わかっていませんでしたが、好きなことを一歩ずつはじめてみたら、今ここで、私はアートセラピーをしていました。
もちろん、それが自分のtalentかどうかなんて今もわかりません。
でも、もしかしたら、好きでやってみたいことの中には少しくらいtalentが隠れているのではないかな?
もしくは、そこにtalentが育っていくのかもしれない。
今は、そんな風に思ったりしもします。
talent、talentと、柄にもなく英語を書き綴りましたが。
そんな初心を思い出した春でした!
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